これは、お大師さまのことばで「他人の利益をはかるように努めていると、苦しみの世界に行く因縁が消える」という意味です。利益というのはお金や不動産、宝石など目に見える形での利益と考える方が多いと思います。むしろ「御利益=ごりやく」と考え、ごりやくの一つを「幸せ」と考えてみてください。幸せとは「家庭が円満である」、「日々健康に過ごせる」、「苦しんでいた病気が治る」、「商売が繁昌する」、「事故や災害などに遭わずに平穏に日々を過ごせる」など、人によってさまざまです。お金、不動産、宝石などは目に見えますが、幸せという利益は目に見えないものです。目に見えるものを追いかけ、それが増えることが幸せであり、特に今の世の中、人の事を考えるどころではないとおっしゃる方も居られると思いますが、お大師さまは目に見える目先の利益を追いかけると際限のない欲望に苦しむことになると遥か昔におっしゃられております。こうした世の中だからこそ、この言葉をすべての人が理解し、行動してくださると、世の中は良い方向に変わっていくと思います。
合掌 |